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01仮魔女物語

仮魔女と友人(6)

へへへ、とリンも笑う。 「マヌエルに詳しい友達がいるんだよ。同室のね、ダリアって子なんだけど」「ふうん」「『月刊マヌエル通信』って雑誌を定期購読しててね、メニュー一覧をコピーしてくれたんだ。どれもこれも美味しそうですっごく迷ったんだけど、ホ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(5)

森の中は静かだった。マリアラはどこへ行ったのだろう。 『近くにいますよ。あまり【壁】の近くだと、ハウスを建てるのに支障がありますから』  リンの疑問を見透かしたかのようにミフが言い、リンは、ミフを見た。そうだ、と思った。 「そっか、場所を探...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(4)

【壁】の近くまで近づいたのは、三年前の環境学実習以来のことだ。 雪山の頂上を少し越えた辺りに【壁】はある。なだらかに続いていた深緑のじゅうたんが、そこで唐突に断ち切られていた。向こう側は草原だ。どこまでもどこまでも、青々と茂った豊かな牧草地...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(3)

マリアラの箒はミフと言った。 ミフは自律行動できる回路を備えた、技術大国エスメラルダの技術の粋を極めて作り出された最高級の魔法道具だ。動力はマリアラから供給されるが、ある程度なら離れていても自由に動き回ることができた。飛行中に誤って落ちたと...
03魔女の日常

虹色鶏の独り言

ミシェル=イリエル・マヌエルは、昨年の冬、ある痛い経験をしている。 その経験によって、失ったものは大きい。     *  11月のエスメラルダは、“独り身”の右巻きでもなかなか忙しい。皆ピリピリしているし、休みは取りづらいし、取らないと倒れ...
15間話『雪の降る町〈中〉』

スタンプ集め

そして午後。 リンはまた、【魔女ビル】にいた。  保護局員の横のつながりを強化するという保護局の方針は、リンの予想以上に本気だった。週に三日は関係の行事が盛り込まれている。今日は男女ふたりずつ、計四人のグループで協力しあって同じ課題をこなす...
15間話『雪の降る町〈中〉』

間話 雪の降る街(3)

十二月八日  今日も雪が降っていた。  寒い寒い日の朝。リンは事務所に出勤するだいぶ前にここにきて、曇った窓の外の降りしきる雪を見ながら、ガストンを待っていた。  【魔女ビル】警備隊の、詰め所だ。 門番よろしく詰め所前に立って、出勤する人ひ...
14魔女の失意

グロウリア

一週間が過ぎた。  リクライニング式の寝椅子は柔らかく、ゆるやかなカーブを描いてマリアラの体をすっぽりと包んでいた。遺跡の塀に囲まれた中庭で、マリアラは日向ぼっこをしていた。とりあえず血は止まっていたが、頭と右足と肩が、まだ包帯に包まれてい...
14魔女の失意

失意

「昼頃からずーっとそういう後ろ暗い場所に入り込んで、次の日の朝までずっとそこで遊んで、莫大な報酬をぜーんぶ使って帰ってくるの。お酒とか煙草とかの匂いをぷんぷんさせながらね。わかる? フェルドは、そういう遊び方を覚えたの」  マリアラは目を丸...
14魔女の失意

ライラニーナ=ラクエル・マヌエル

時計台は予想よりとても大きかった。  町中にそびえるその塔は、歩いても歩いても一向に麓が見えなかった。ようやくたどり着いた時は、既に昼が近かった。マリアラは呼吸を整えて、その背の高い時計塔を見上げた。予想より随分大きかったので、距離も予想よ...
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