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01仮魔女物語

第二章 仮魔女と山火事(1)

おやつの時間になっても、リンはレポートに没頭していた。 さっきお茶とお菓子を出してから、一時間近くがたっている。既に日が暮れかけていて、少し前に出した光珠がくっきりと自己主張をし始めている。マリアラは身震いをした。寒い。  もうすぐ日が暮れ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(8)

*  雪山は雄大だった。ガイドブックで知ってはいたが、実際に足を踏み入れると、その壮大さに圧倒される。引き換え自分の体が急に小さくなったように思え、ジェイド=ラクエル・マヌエルは、何だか自分探しにきたアウトドア初心者みたいな感想だな俺、と思...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(7)

十数分ほど経っただろうか。 ふと視線を感じて顔を上げると、机に顎を乗せたリンが、ペンを噛みながらマリアラを見ていた。リンの目の前のメモ用紙は、もう何枚か増えていた。開いた文献に左手を乗せている。  リンは本当に綺麗な子だ、と、マリアラは思っ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(6)

へへへ、とリンも笑う。 「マヌエルに詳しい友達がいるんだよ。同室のね、ダリアって子なんだけど」「ふうん」「『月刊マヌエル通信』って雑誌を定期購読しててね、メニュー一覧をコピーしてくれたんだ。どれもこれも美味しそうですっごく迷ったんだけど、ホ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(5)

森の中は静かだった。マリアラはどこへ行ったのだろう。 『近くにいますよ。あまり【壁】の近くだと、ハウスを建てるのに支障がありますから』  リンの疑問を見透かしたかのようにミフが言い、リンは、ミフを見た。そうだ、と思った。 「そっか、場所を探...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(4)

【壁】の近くまで近づいたのは、三年前の環境学実習以来のことだ。 雪山の頂上を少し越えた辺りに【壁】はある。なだらかに続いていた深緑のじゅうたんが、そこで唐突に断ち切られていた。向こう側は草原だ。どこまでもどこまでも、青々と茂った豊かな牧草地...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(3)

マリアラの箒はミフと言った。 ミフは自律行動できる回路を備えた、技術大国エスメラルダの技術の粋を極めて作り出された最高級の魔法道具だ。動力はマリアラから供給されるが、ある程度なら離れていても自由に動き回ることができた。飛行中に誤って落ちたと...
03魔女の日常

虹色鶏の独り言

ミシェル=イリエル・マヌエルは、昨年の冬、ある痛い経験をしている。 その経験によって、失ったものは大きい。     *  11月のエスメラルダは、“独り身”の右巻きでもなかなか忙しい。皆ピリピリしているし、休みは取りづらいし、取らないと倒れ...
15間話『雪の降る町〈中〉』

スタンプ集め

そして午後。 リンはまた、【魔女ビル】にいた。  保護局員の横のつながりを強化するという保護局の方針は、リンの予想以上に本気だった。週に三日は関係の行事が盛り込まれている。今日は男女ふたりずつ、計四人のグループで協力しあって同じ課題をこなす...
15間話『雪の降る町〈中〉』

間話 雪の降る街(3)

十二月八日  今日も雪が降っていた。  寒い寒い日の朝。リンは事務所に出勤するだいぶ前にここにきて、曇った窓の外の降りしきる雪を見ながら、ガストンを待っていた。  【魔女ビル】警備隊の、詰め所だ。 門番よろしく詰め所前に立って、出勤する人ひ...
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