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01仮魔女物語

仮魔女と狩人(2)

沈黙が落ちた。マリアラが左手で、毛布をかき寄せた。身震いをして、痛んだのだろう、顔を歪めた。リンは再びしゃがみ込み、マリアラの背を撫でた。そして気づいた。マリアラの周りの温かな空気が消えてしまっている。 ということはつまり、温めていたのはジ...
01仮魔女物語

第四章 仮魔女と狩人(1)

リンは上空にいた。ダスティンの箒が、リンを乗せたまま降ろしてくれなかったからだ。  リンからは魔物がマリアラを食べようとしていたようにしか見えなかった、だからダスティンの行動に文句を言う気はなかったが、魔物が動かなくなったのにリンを降ろして...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(6)

*  魔物が倒れた地響きで、我に返った。 魔物は少し離れた場所にいた。グールドが落ちれば魔物は温泉街へ向かうのをやめるのではないかと思ったのは正解だったらしい。が、喜ぶ暇はなかった。グールドは既に立ち上がっていて、マリアラはまだ保護膜に包ま...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(5)

ガストンに押されるように詰所を出ると、新たなマヌエルが飛んで来ているのが見えた。ジェイド、という名らしいマヌエルが呻く。 「……なんであっちかな」  小さな独り言だったので、ガストンには聞こえなかったようだった。大きく手を振ってマヌエルに合...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(4)

*  リン=アリエノールはジリジリしていた。 ミフはリンをここに投げ出すように下ろすや『通報お願い!』叫んで飛んで行ってしまった。その後マリアラがどうなったのか全くわからない。だからリンはジリジリしている。何しろ温泉街詰所の保護局員が、リン...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(3)

*  ひどく静かだった。  何の音もしなかった。遠くから轟音がじわじわと這うように進んで来るのが感じられるが、その分、マリアラの周りは本当に静かだった。 もう鼻が慣れてしまったのか、焦げ臭ささえ感じない。  ――来た。  全身の毛が逆立って...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(2)

上昇すると、山火事が迫っているのがよく見える。灯台から少し離れた場所に、さっき森へ分け入っていった男たちの持つ松明の明かりがちらりと見えた。ジェイドは顔をしかめ、ガストンを振り返った。 「あの人たち――何してるんです? 森に火でも、付けるつ...
01仮魔女物語

第三章 仮魔女と魔物(1)

昨日の夕方は、逃げそびれたのだった。  ジェイドもフェルドもダスティンも、三人とも『右巻き』で『独り身』で、おまけに昨日は突発的な大吹雪だったから、みんな雪かきにかり出された。さらにラクエルは光がなければ雪かきすることができないから、シフト...
01仮魔女物語

仮魔女と山火事(3)

炎をあげて身悶える森は激しく煙を上げていた。赤黒い炎が、もがき苦しむ森にすがりつき押さえつけ、しがみついているように見える。大惨事、という言葉が浮かんだ。炎は次々と隣の木を飲み込みながらじわじわとこちらに進んでいる。 ミフはそれから逃げるよ...
01仮魔女物語

仮魔女と山火事(2)

*  慌てふためくリンとは対象的に、マリアラは落ち着いていた。火事の方へは向かわず、ミフはふたりを乗せてすうっと麓の方へ向けて空を滑った。リンはマリアラをせっついた。 「マリアラ! あっち、早く消さなくちゃ……!」「ちょっと待って」  声は...
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