スポンサーリンク
01仮魔女物語

エピローグ

一週間後。 穏やかな、気持ちのいい昼下がり。  リンは自分の部屋で、香茶を飲みながら本を眺めている。が、内容がちっとも頭に入ってこない。湧き上がる衝動を発散しようと、五分ごとに立ち上がってはうろうろ歩き回らずにはいられない。同室の、自分の机...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(11)

フェルドはポケットから小さな巾着袋を取り出し、中からいくつかの器具を選び出していた。ぽん、という音と共に元の大きさに戻ったものは、つやつや光る鍋だ。  続いて取り出したのは、黄色いペーストがたくさん入った瓶だった。蓋をきゅぽんと開けて、スプ...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(10)

*  ガストンが持ってきてくれた保護局員の“極秘道具”のお陰で、リンを乗せたフィは数百メートル飛んだだけでつつがなく、エスメラルダの中に戻った。 ガストンはリンを見てホッとしたように微笑った。リンは何だかどぎまぎする。 「酷いケガがなさそう...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(9)

*  みしり、空間が軋んだ。ずずず、地鳴りがして、出し抜けに頭を殴られたような衝撃がきた。がちんと歯が鳴って、マリアラはよろめいた。 「あーもう! 左巻きは下がって!」  ダスティンがわめいている。でもマリアラは動かなかった。 若草色の粒子...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(8)

* 「ふうん」  とすん。 気がつくとリンは地面に仰向けに倒れていた。  グールドの紅い瞳が間近でリンを覗き込んでいた。グールドの左手がリンの右腕を押さえ、右手にはぎざぎざのナイフが光っていた。  マリアラが両手を胸の前で握りしめ、叫んでい...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(7)

*  あの狩人が、リンを羽交い締めにしている。  それを見た瞬間、マリアラは思わずジェイドの後ろから飛び降りた。「わー」いきなりマリアラの体重が消えた弾みでジェイドを乗せたミフは上に流れていく。地面までかなりの距離があったが構ってはいられな...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(6)

*  次に気がつくと、まだ、びいいいいい、という甲高い振動音が聞こえていた。  全身が重く、力が入らない。ただ意外なことに、刺されたわけではないらしい。むき出しの顔と手の甲が冷たく、背中がズキズキするが、出血してるような感じはしない。 「こ...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(5)

*  ぺんぺん、ぺんぺん。 両頬に鈍い刺激をひっきりなしに受け続け、ジェイドは思わず呻いた。 「い……痛い……」「ごめんなさい」か細い声だった。「でも起きて、お願い、ミフを――わたしの箒、どこにあるの? どこにしまったの、お願い、起きて!」...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(4)

リンはグールドの足下の、わずかに平らな部分に座り込んだ。 焼け焦げた空間が終わりに近づいている。この先の消失を免れた森を抜けたら、もう、雪山が終わってしまう――そう、リンが思ったときだった。  頭上を、何か巨大なものが行きすぎた。  グール...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(3)

「えっ」『乗り物を隠してたんだ、狩人がそっちに向かってる! 逃げろ! フィがすぐ――』  その声に被さるように、びいいいいいいいい、という奇妙な振動音が聞こえてくるのにリンは気づいた。  無線機の向こうからではなく、右前方からだ。森の木々を...
スポンサーリンク