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14魔女の失意

間話 雪の降る街(1)

また雪が降り出した。  事務所のあるビルの出入り口で、リンは足を止めた。まだ路面に積もるほどではないものの、結構本格的な降り方だ。 「おら、行くぞー」  フェリクスはあっさり言って、雪の中にずかずかと足を踏み出して行く。リンはコートのフード...
13魔女の誕生

間話 〈彼女〉の別れ(3)

*  舞とアルガスとレティア、同時にニーナが帰って来たのは、それからひと月ほど後のことだ。  あたしはもう、我ながら、抜け殻みたいだった。ニコルとバーサに仕事の引き継ぎをし、遺言状の代筆をしてもらう仕事はもうとっくに済んでいた。最後にニーナ...
13魔女の誕生

間話 〈彼女〉の別れ(2)

ガルテはあたしを診て、診て、診て。  口を開けさせて脈を聞いて瞳孔を覗いてあちこち調べ、体中を指でつついて、ひざ頭を木槌で叩いて反応を見、何でもっと早く来なかったのか、と、絶望的な口調で言った。  それから、今すぐオーレリアを捜せ、と言った...
13魔女の誕生

間話 〈彼女〉の別れ(1)

ミーシャの誕生日が近づいてきている。  あとふた月と、少しだ。  仮魔女法に加えられた附則が、先日元老院の認可を得た。来年の一月一日――あとひと月とちょっと――から施行になる。レジナルドの思惑を抜いて考えると、仮魔女法の変更に異を唱える理由...
13魔女の誕生

間話 王太子秘書マルゴットの観察3

マルゴットとミランダは、ギョッとした。レイルナートの目が焦点を失っている。そのまま倒れるのではないかと思った時、マリアラが動いた。壁際のサイドテーブルの上においてあったスケッチブックと木炭をもって戻り、白紙のページを選んでレイルナートの前に...
01仮魔女物語

第一章 仮魔女と友人(1)

夜のうちに天気は回復し、今日は快晴だった。  暖かい。  というよりむしろ、着込みすぎて暑いくらいだ。リン=アリエノールはジャケットを脱ごうかどうしようか、しばし悩んだ。周囲を埋め尽くす雪もじわじわと溶け始めており、さながら春の様相を呈して...
13魔女の誕生

間話 王太子秘書マルゴットの観察2

*  ミランダ=レイエル・マヌエルがマルゴットの家に到着したとき、マルゴットは、マリアラ=ラクエル・マヌエルにケープをかぶせてあれこれ塗りたくり、くるくる巻いている最中だった。  だからミランダはマリアラに飛びつくことができず、ふたりの再会...
13魔女の誕生

間話 王太子秘書マルゴットの観察

トールのお守りから解放され、マルゴットは久しぶりの休暇を満喫していた。 髪を下ろして好きな服を着て、映画を観たり食事をしたり、臨時ボーナスで思うさま散財したり、気に入った行きずりの男性とクラブで踊ったりバーに行ったり。一週間の休暇は瞬く間に...
13魔女の誕生

レイルナート_4

「助けてえ……」  マリアラがかがみ込もうとした時には、デクターがすぐそばに来ていた。あっという間にロープを切った。「おまち、ください」掠れた声がそう言った。シゲタはすでに地面にくずおれていた。せい、せい、と肺が鳴った。呼吸が苦しそうだ。 ...
01仮魔女物語

002_プロローグ(2)

それから、三時間が過ぎた。  ララはまだ来ない。マリアラは本を読んでいたが、一冊読み終えてもまだ連絡がこないことに、さすがに不安になってきた。日は既にとっぷりと暮れ、さっきのマヌエルが溶かした雪も、また元どおり積もり始めている。休憩所に残っ...
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