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14魔女の失意

第二章 追手

渋々部屋に戻る道すがら、見つけた時計を確認すると、なるほど時刻はもう真夜中を回っていた。確かに、まだ三分の二以上残っている分厚い本をまた読み出すには、差し障りのある時間と言えるだろう。  全く子供扱いされていると内心ブツブツ言いながら、デク...
03魔女の日常

ダメな子(4)

この世には魔女とか一般人とか関係なく、巧い子とダメな子が存在している、とラセミスタは思っている。巧い子は世間の流れに巧く乗っていける人たちだ。色々とアクシデントは起こっても、それを、持ち前の機転や経験や運などで、巧く乗り切っていける。  で...
03魔女の日常

ダメな子(3)

その日ラセミスタは夜十一時過ぎに自室に戻った。 最近、マリアラの行動パターンがつかめてきた。彼女は至極真面目なたちで、次の日仕事の場合は夜更かしなどまずしない。十一時なら絶対に寝ている。  カップケーキのメッセージの返事は、まだ書けていない...
14魔女の失意

紅ばらと白ばら

デクターが落ち着くのに、数分かかった。  彼はようやく落ち着くと、「あーもー……こんな夜中に……疲れさせんなよ……」と毒づきながら、少し離れた場所にあったひじかけ椅子をごとごとと持ってきた。マリアラの目の前に設置して、腰をかけ、ふう、と息を...
03魔女の日常

ダメな子(2)

マリアラの作り方は、確かに、ここでの――そして他の製薬所での――常識的なものではなかったらしい。回りにいる子たちが不思議そうに、あるいは興味深そうに、しげしげとマリアラの手元を見ている。居心地が悪いが、仕方がない。  精製水を計って四つのフ...
14魔女の失意

読書欲

マリアラはポケットを探り、焼け焦げたビロードの小袋を取りだし、その中から自分のコインを選び出した。コインをいつも首元にぶら下げておくのは肩が凝るし、万一見とがめられては危険なので、コインは元どおりビロードの小袋の中にフェルドのものといっしょ...
14魔女の失意

【炎の闇】

ジェムズは珈琲を頼んだ。デクターは香茶が好きらしい。フェルドはこういう場合どんな飲み物を頼むのだろう、と、マリアラは考えた。シフトに入っている時は、甘くない炭酸水をよく飲んでいたけれど、喫茶店などで誰かと話をする時はどうなのだろう。こんなに...
14魔女の失意

喫茶室

喫茶室は一階下の、かなりのスペースを割いて作られていた。  いや、喫茶室ばかりではない。雨に祟られた不運な観光客もきっと満足するだろう、というほど、館内設備が整っていた。廊下に貼られた案内図によれば、プールも、ジムも、子供向けのアスレチック...
14魔女の失意

第一章 アリエディア

アリエディアは風光明媚な町だった。  マリアラはデクターが買ってくれたガイドブックを読みながら、窓から見えるあれこれを、レイルナートに解説するのに忙しかった。  ここはエスメラルダから雪山の頂を挟んで反対側の、山の斜面に古くから存在している...
14魔女の失意

間話 雪の降る街(2)

「……行かねーの?」  ヴィンセントに声をかけられ、リンは我に返った。そうだった。  リンはむすっとして足早に体育館の階段を上がった。得体の知れない男と一緒に行かなければならないのが落ち着かなかった。リンはヴィンセントを知らない。こんな印象...
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