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03魔女の日常

奇跡(5)

次の日のお昼頃、マリアラは目覚めた。 寝過ぎたせいで少し頭が重い。よろよろとベッドを出て、シャワールームに行った。しまった、制服のまま寝てしまったじゃないか。クリーニング担当の人に余計な手間をかけてしまう。 しわしわの制服を洗濯ボックスに入...
14魔女の失意

廃ホテル

ロビーは暗い。  明け方だ。あたりはとても静かで、埃っぽかった。フランチェスカは二階の廊下に身を潜め、見るともなしに階下を見ていた。ここは良い。全体を見渡せるし、誰にも邪魔されない。 ベルトランはまだ帰ってこない。  真下には、イクス=スト...
03魔女の日常

奇跡(4)

詰所に戻り、シャワーを浴びて着替えた後、二人は頭を付き合わせるようにして報告書を書いた。 自殺志願者と認定されたあの老人は、意識を戻さないまま、保護局員に連行されていった。保護局員の話では、“あわよくば救助に来た左巻きを生け贄として巻き添え...
03魔女の日常

奇跡(3)

目の前を舞い狂っていた雪片が静止していた。 耳を聾するほどだった風の音も遠くなった。 その範囲は半径2、30メートルにも及ぶだろうか。眼下に逆巻き荒れ狂いながら【壁】に向かって進んでいく波涛が見えているが、この範囲に入ると波も僅かに穏やかに...
03魔女の日常

奇跡(2)

何とか顔を整えて戻ると、フェルドはローテーブルの上に並べた蝋燭を睨んでいた。張り詰めるほどに集中しているのがわかる。蝋燭は十本、並んでいて、半分ほど火が灯っている。 ひとつ、炎が揺らいで、消えた。 そして、もうひとつ――いや、残り全部が一気...
03魔女の日常

奇跡(1)

『マリアラ。マリアラ、起きて』「んー」『マリアラ、起きて。遅刻するわ』「……んー?」『もう八時五十分よ。起きなさい』「はち……八時ごじゅっ!?」  マリアラは飛び起きた。辺りはもうすっかり朝だった。時計を見ると、確かに八時五十分を指している...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(2)

*  マリアラの方も、『遭難者』がリンだと、知らされていなかったらしい。 箒に乗って舞い降りて来たマリアラは、地面に降り立ってからも、目を丸くしてリンを見ていた。そして――一瞬、身構えるような顔をした。そうだろうなとリンは思う。 リンは、マ...
14魔女の失意

第二章 追手

渋々部屋に戻る道すがら、見つけた時計を確認すると、なるほど時刻はもう真夜中を回っていた。確かに、まだ三分の二以上残っている分厚い本をまた読み出すには、差し障りのある時間と言えるだろう。  全く子供扱いされていると内心ブツブツ言いながら、デク...
03魔女の日常

ダメな子(4)

この世には魔女とか一般人とか関係なく、巧い子とダメな子が存在している、とラセミスタは思っている。巧い子は世間の流れに巧く乗っていける人たちだ。色々とアクシデントは起こっても、それを、持ち前の機転や経験や運などで、巧く乗り切っていける。  で...
03魔女の日常

ダメな子(3)

その日ラセミスタは夜十一時過ぎに自室に戻った。 最近、マリアラの行動パターンがつかめてきた。彼女は至極真面目なたちで、次の日仕事の場合は夜更かしなどまずしない。十一時なら絶対に寝ている。  カップケーキのメッセージの返事は、まだ書けていない...
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