03魔女の日常

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03魔女の日常

虹色鶏の独り言

ミシェル=イリエル・マヌエルは、昨年の冬、ある痛い経験をしている。 その経験によって、失ったものは大きい。     *  11月のエスメラルダは、“独り身”の右巻きでもなかなか忙しい。皆ピリピリしているし、休みは取りづらいし、取らないと倒れ...
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武器(3)

ややして、ミランダが言った。 「……私ね、前に、マリアラが今住んでる部屋にいたのよ」「え。……そうなの?」「そう。ラセミスタの、ルームメイトだったの、私。去年の冬」  それも去年の冬なのか。マリアラは頷き、ミランダはこちらを見た。 「フェル...
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武器(2)

「ジェシカ」「……何よ……!?」  振り返ったジェシカの手を掴み、指輪を嵌めた。振りほどこうとするジェシカの手を必死で押さえつける。 「あなたの魔力を吸い取って利用してたっていうなら、証拠を見せて。わたしがあなたやミランダに近づくだけであな...
03魔女の日常

武器(1)

次の非番の日。 製薬所に行くと、こないだとはかなり違った雰囲気が漂っていた。 雰囲気が、やわらかい。 「あっ、マリアラ! こんにちは!」  シャルロッテが声をかけてき、マリアラは嬉しくなった。机に着いていた子たちが皆顔を上げて、にこやかな挨...
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奇跡(6)

「ミランダに会った? あの子、元気でやってる?」「はい。ああそうだ、……あの……」  マリアラは言葉を探した。聞いていいのか。そもそも、聞いてどうなるのか。フェルドの身辺を詮索する権利など、マリアラにあるのだろうか。 しかし、このまま仕事を...
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奇跡(5)

次の日のお昼頃、マリアラは目覚めた。 寝過ぎたせいで少し頭が重い。よろよろとベッドを出て、シャワールームに行った。しまった、制服のまま寝てしまったじゃないか。クリーニング担当の人に余計な手間をかけてしまう。 しわしわの制服を洗濯ボックスに入...
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奇跡(4)

詰所に戻り、シャワーを浴びて着替えた後、二人は頭を付き合わせるようにして報告書を書いた。 自殺志願者と認定されたあの老人は、意識を戻さないまま、保護局員に連行されていった。保護局員の話では、“あわよくば救助に来た左巻きを生け贄として巻き添え...
03魔女の日常

奇跡(3)

目の前を舞い狂っていた雪片が静止していた。 耳を聾するほどだった風の音も遠くなった。 その範囲は半径2、30メートルにも及ぶだろうか。眼下に逆巻き荒れ狂いながら【壁】に向かって進んでいく波涛が見えているが、この範囲に入ると波も僅かに穏やかに...
03魔女の日常

奇跡(2)

何とか顔を整えて戻ると、フェルドはローテーブルの上に並べた蝋燭を睨んでいた。張り詰めるほどに集中しているのがわかる。蝋燭は十本、並んでいて、半分ほど火が灯っている。 ひとつ、炎が揺らいで、消えた。 そして、もうひとつ――いや、残り全部が一気...
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奇跡(1)

『マリアラ。マリアラ、起きて』「んー」『マリアラ、起きて。遅刻するわ』「……んー?」『もう八時五十分よ。起きなさい』「はち……八時ごじゅっ!?」  マリアラは飛び起きた。辺りはもうすっかり朝だった。時計を見ると、確かに八時五十分を指している...
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