魔女の遍歴

スポンサーリンク
14魔女の失意

安らぎ

トールは不満だった。 ジェイムズ=ベインという人はミランダの協力者だと知ってはいたが、そもそもはマリアラへの好意から、ミランダに力を貸すことになったと聞いていた。なのになぜこんな状況で、マリアラをひとりで行かせることができるのだろうか。  ...
14魔女の失意

ジェムズ

ふわりと広がって落ちてきたその布は、スローモーションのようにゆっくり、そしてふんわりと、目の前にいたイクスの上に被さった。  一瞬の空白があった。あんまり出しぬけで、あんまり非現実的で、イクスもマリアラもイーレンタールも、みんなその場に立ち...
14魔女の失意

イーレンタール

マリアラ=ラクエル・マヌエルが、トールによってホテルに担ぎ込まれた。それを見届けて、ベルトランはたまりかねたように膝をついた。あの人が膝をつくことがあるとは知らなかったとイクスは思う。ベルトランが斃れる時は自滅だろうと思っていた。酒を飲み過...
14魔女の失意

裏切り者の朝食

ここのお日様はもといた島より随分のんびりしている。ようやく上がってきたお日様の光を浴びながら、レイルナートは朝ごはんを食べている。  しゃりしゃり、と緑菜が口の中で音を立てる。全く、と、噛みながら思う。ここのご飯は、全く美味しくない。  今...
14魔女の失意

ヴィレスタとトール

先ほどイクスが喚いたからか、それとも夜が明けてきたからか。周囲にざわざわと、人の気配を感じる。 「お騒がせしてすみません、アリエディア警察です! 犯人は捕らえましたので、もう大丈夫です! ご安心ください!」  イクスがことさらに嬉し気に喧伝...
03魔女の日常

武器(3)

ややして、ミランダが言った。 「……私ね、前に、マリアラが今住んでる部屋にいたのよ」「え。……そうなの?」「そう。ラセミスタの、ルームメイトだったの、私。去年の冬」  それも去年の冬なのか。マリアラは頷き、ミランダはこちらを見た。 「フェル...
14魔女の失意

トールとヴィレスタ

その素直な感情の発露に、マリアラは胸をつかれた。 「し、知ってると思うけど、わたし、今、追われている身で……だから、安全とは、言えないんだけど……巻き込んじゃうことになっちゃう、けど、でも、その。よかったら、一緒にいかないかな。あなたがとて...
03魔女の日常

武器(2)

「ジェシカ」「……何よ……!?」  振り返ったジェシカの手を掴み、指輪を嵌めた。振りほどこうとするジェシカの手を必死で押さえつける。 「あなたの魔力を吸い取って利用してたっていうなら、証拠を見せて。わたしがあなたやミランダに近づくだけであな...
03魔女の日常

武器(1)

次の非番の日。 製薬所に行くと、こないだとはかなり違った雰囲気が漂っていた。 雰囲気が、やわらかい。 「あっ、マリアラ! こんにちは!」  シャルロッテが声をかけてき、マリアラは嬉しくなった。机に着いていた子たちが皆顔を上げて、にこやかな挨...
03魔女の日常

奇跡(6)

「ミランダに会った? あの子、元気でやってる?」「はい。ああそうだ、……あの……」  マリアラは言葉を探した。聞いていいのか。そもそも、聞いてどうなるのか。フェルドの身辺を詮索する権利など、マリアラにあるのだろうか。 しかし、このまま仕事を...
スポンサーリンク