魔女の遍歴

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02魔女の相棒

初日 日勤(1)

空から見ても、南大島の惨状は酷かった。  仮魔女試験のあった日――雪山に魔物と狩人が乱入したあの日、グールド=ヘンリヴェントと名乗った狩人は、魔物を使って800ヘクタールもの森林を焼いた。山火事の被害は甚大だったが、人的被害は幸いそれほどで...
02魔女の相棒

魔女の相棒-プロローグ

朝九時。日勤の始まりだ。  今日からまた一週間、相棒選出のための研修が始まる。今回の相棒(暫定)は、フェルド――フェルディナント=ラクエル・マヌエルだ。背が高い。真っ黒な硬そうな頭髪は短く切られ、黒々とした眉毛が一本気な内心を窺わせる。 彼...
01仮魔女物語

治療院の魔女(5)

*  治療が済むと、もうすっかり夜だった。 治療院の鍵を閉めていたディアナが、さて、と言いながらこちらを振り返った。 「遅くなっちゃってごめんなさいね、マリアラ。手伝ってくれてありがとう」「いいえ、こちらこそ、助けていただいてありがとうござ...
01仮魔女物語

治療院の魔女(4)

*  ディアナの治療院は、コオミ屋から少し戻った場所にあった。 小さな、可愛らしい建物だった。入ってすぐ待合室になっていて、受付カウンターの向こうに事務室、その隣に治療ブースが見える。  待合室には誰もいなかった。ディアナは待合室を横切り、...
01仮魔女物語

治療院の魔女(3)

コオミ屋はお茶もお菓子も最高に美味しい、という、エスメラルダでも特に有名な店だ。製菓販売が主だが、喫茶店も兼ねている。ここのアフタヌーンティーが本当に絶品なんだよ、と、以前リンが話していたので覚えていた。  もしリンと一緒に来たのだったら、...
01仮魔女物語

治療院の魔女(2)

*  今日は運がいい。三時が近づく頃には、再びそう思えるようになっていた。 選んだ本は大当たりだったし、お昼ご飯も美味しかった。マージの喜びそうなチョコレートも見つけたし、まだ見ぬルームメイトと一緒に食べるための自分用も買えたし。  きっと...
01仮魔女物語

番外編 治療院の魔女(1)

「申し訳ない」  やってきてすぐ頭を下げられマリアラは慌てた。目の前で金色のつむじが渦巻いている。 「早いところ空けさせようとはしてるんだが……なにぶん荷物が多くて。本当に申し訳ない」  仮魔女寮の待合室はいつも閑散としている。仮魔女はみん...
01仮魔女物語

エピローグ

一週間後。 穏やかな、気持ちのいい昼下がり。  リンは自分の部屋で、香茶を飲みながら本を眺めている。が、内容がちっとも頭に入ってこない。湧き上がる衝動を発散しようと、五分ごとに立ち上がってはうろうろ歩き回らずにはいられない。同室の、自分の机...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(11)

フェルドはポケットから小さな巾着袋を取り出し、中からいくつかの器具を選び出していた。ぽん、という音と共に元の大きさに戻ったものは、つやつや光る鍋だ。  続いて取り出したのは、黄色いペーストがたくさん入った瓶だった。蓋をきゅぽんと開けて、スプ...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(10)

*  ガストンが持ってきてくれた保護局員の“極秘道具”のお陰で、リンを乗せたフィは数百メートル飛んだだけでつつがなく、エスメラルダの中に戻った。 ガストンはリンを見てホッとしたように微笑った。リンは何だかどぎまぎする。 「酷いケガがなさそう...
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