14魔女の失意

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14魔女の失意

グロウリア

一週間が過ぎた。  リクライニング式の寝椅子は柔らかく、ゆるやかなカーブを描いてマリアラの体をすっぽりと包んでいた。遺跡の塀に囲まれた中庭で、マリアラは日向ぼっこをしていた。とりあえず血は止まっていたが、頭と右足と肩が、まだ包帯に包まれてい...
14魔女の失意

失意

「昼頃からずーっとそういう後ろ暗い場所に入り込んで、次の日の朝までずっとそこで遊んで、莫大な報酬をぜーんぶ使って帰ってくるの。お酒とか煙草とかの匂いをぷんぷんさせながらね。わかる? フェルドは、そういう遊び方を覚えたの」  マリアラは目を丸...
14魔女の失意

ライラニーナ=ラクエル・マヌエル

時計台は予想よりとても大きかった。  町中にそびえるその塔は、歩いても歩いても一向に麓が見えなかった。ようやくたどり着いた時は、既に昼が近かった。マリアラは呼吸を整えて、その背の高い時計塔を見上げた。予想より随分大きかったので、距離も予想よ...
14魔女の失意

安らぎ

トールは不満だった。 ジェイムズ=ベインという人はミランダの協力者だと知ってはいたが、そもそもはマリアラへの好意から、ミランダに力を貸すことになったと聞いていた。なのになぜこんな状況で、マリアラをひとりで行かせることができるのだろうか。  ...
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ジェムズ

ふわりと広がって落ちてきたその布は、スローモーションのようにゆっくり、そしてふんわりと、目の前にいたイクスの上に被さった。  一瞬の空白があった。あんまり出しぬけで、あんまり非現実的で、イクスもマリアラもイーレンタールも、みんなその場に立ち...
14魔女の失意

イーレンタール

マリアラ=ラクエル・マヌエルが、トールによってホテルに担ぎ込まれた。それを見届けて、ベルトランはたまりかねたように膝をついた。あの人が膝をつくことがあるとは知らなかったとイクスは思う。ベルトランが斃れる時は自滅だろうと思っていた。酒を飲み過...
14魔女の失意

裏切り者の朝食

ここのお日様はもといた島より随分のんびりしている。ようやく上がってきたお日様の光を浴びながら、レイルナートは朝ごはんを食べている。  しゃりしゃり、と緑菜が口の中で音を立てる。全く、と、噛みながら思う。ここのご飯は、全く美味しくない。  今...
14魔女の失意

ヴィレスタとトール

先ほどイクスが喚いたからか、それとも夜が明けてきたからか。周囲にざわざわと、人の気配を感じる。 「お騒がせしてすみません、アリエディア警察です! 犯人は捕らえましたので、もう大丈夫です! ご安心ください!」  イクスがことさらに嬉し気に喧伝...
14魔女の失意

トールとヴィレスタ

その素直な感情の発露に、マリアラは胸をつかれた。 「し、知ってると思うけど、わたし、今、追われている身で……だから、安全とは、言えないんだけど……巻き込んじゃうことになっちゃう、けど、でも、その。よかったら、一緒にいかないかな。あなたがとて...
14魔女の失意

廃ホテル

ロビーは暗い。  明け方だ。あたりはとても静かで、埃っぽかった。フランチェスカは二階の廊下に身を潜め、見るともなしに階下を見ていた。ここは良い。全体を見渡せるし、誰にも邪魔されない。 ベルトランはまだ帰ってこない。  真下には、イクス=スト...
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