01仮魔女物語

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01仮魔女物語

仮魔女と友人(4)

【壁】の近くまで近づいたのは、三年前の環境学実習以来のことだ。 雪山の頂上を少し越えた辺りに【壁】はある。なだらかに続いていた深緑のじゅうたんが、そこで唐突に断ち切られていた。向こう側は草原だ。どこまでもどこまでも、青々と茂った豊かな牧草地...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(3)

マリアラの箒はミフと言った。 ミフは自律行動できる回路を備えた、技術大国エスメラルダの技術の粋を極めて作り出された最高級の魔法道具だ。動力はマリアラから供給されるが、ある程度なら離れていても自由に動き回ることができた。飛行中に誤って落ちたと...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(2)

*  マリアラの方も、『遭難者』がリンだと、知らされていなかったらしい。 箒に乗って舞い降りて来たマリアラは、地面に降り立ってからも、目を丸くしてリンを見ていた。そして――一瞬、身構えるような顔をした。そうだろうなとリンは思う。 リンは、マ...
01仮魔女物語

第一章 仮魔女と友人(1)

夜のうちに天気は回復し、今日は快晴だった。  暖かい。  というよりむしろ、着込みすぎて暑いくらいだ。リン=アリエノールはジャケットを脱ごうかどうしようか、しばし悩んだ。周囲を埋め尽くす雪もじわじわと溶け始めており、さながら春の様相を呈して...
01仮魔女物語

002_プロローグ(2)

それから、三時間が過ぎた。  ララはまだ来ない。マリアラは本を読んでいたが、一冊読み終えてもまだ連絡がこないことに、さすがに不安になってきた。日は既にとっぷりと暮れ、さっきのマヌエルが溶かした雪も、また元どおり積もり始めている。休憩所に残っ...
01仮魔女物語

001_プロローグ(1)

休憩所は、外から見ても混雑していた。仕方がない。まだ九月の終わりだというのに、真冬のような大吹雪が襲ってきたのだから。  吹雪が来たら、休憩所へ逃げろ。  幼年組の子供たちが学校でたたき込まれることのひとつだ。  でもまさか、孵化した今も、...
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