01仮魔女物語

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01仮魔女物語

仮魔女と魔物(3)

*  ひどく静かだった。  何の音もしなかった。遠くから轟音がじわじわと這うように進んで来るのが感じられるが、その分、マリアラの周りは本当に静かだった。 もう鼻が慣れてしまったのか、焦げ臭ささえ感じない。  ――来た。  全身の毛が逆立って...
01仮魔女物語

仮魔女と魔物(2)

上昇すると、山火事が迫っているのがよく見える。灯台から少し離れた場所に、さっき森へ分け入っていった男たちの持つ松明の明かりがちらりと見えた。ジェイドは顔をしかめ、ガストンを振り返った。 「あの人たち――何してるんです? 森に火でも、付けるつ...
01仮魔女物語

第三章 仮魔女と魔物(1)

昨日の夕方は、逃げそびれたのだった。  ジェイドもフェルドもダスティンも、三人とも『右巻き』で『独り身』で、おまけに昨日は突発的な大吹雪だったから、みんな雪かきにかり出された。さらにラクエルは光がなければ雪かきすることができないから、シフト...
01仮魔女物語

仮魔女と山火事(3)

炎をあげて身悶える森は激しく煙を上げていた。赤黒い炎が、もがき苦しむ森にすがりつき押さえつけ、しがみついているように見える。大惨事、という言葉が浮かんだ。炎は次々と隣の木を飲み込みながらじわじわとこちらに進んでいる。 ミフはそれから逃げるよ...
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仮魔女と山火事(2)

*  慌てふためくリンとは対象的に、マリアラは落ち着いていた。火事の方へは向かわず、ミフはふたりを乗せてすうっと麓の方へ向けて空を滑った。リンはマリアラをせっついた。 「マリアラ! あっち、早く消さなくちゃ……!」「ちょっと待って」  声は...
01仮魔女物語

第二章 仮魔女と山火事(1)

おやつの時間になっても、リンはレポートに没頭していた。 さっきお茶とお菓子を出してから、一時間近くがたっている。既に日が暮れかけていて、少し前に出した光珠がくっきりと自己主張をし始めている。マリアラは身震いをした。寒い。  もうすぐ日が暮れ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(8)

*  雪山は雄大だった。ガイドブックで知ってはいたが、実際に足を踏み入れると、その壮大さに圧倒される。引き換え自分の体が急に小さくなったように思え、ジェイド=ラクエル・マヌエルは、何だか自分探しにきたアウトドア初心者みたいな感想だな俺、と思...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(7)

十数分ほど経っただろうか。 ふと視線を感じて顔を上げると、机に顎を乗せたリンが、ペンを噛みながらマリアラを見ていた。リンの目の前のメモ用紙は、もう何枚か増えていた。開いた文献に左手を乗せている。  リンは本当に綺麗な子だ、と、マリアラは思っ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(6)

へへへ、とリンも笑う。 「マヌエルに詳しい友達がいるんだよ。同室のね、ダリアって子なんだけど」「ふうん」「『月刊マヌエル通信』って雑誌を定期購読しててね、メニュー一覧をコピーしてくれたんだ。どれもこれも美味しそうですっごく迷ったんだけど、ホ...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(5)

森の中は静かだった。マリアラはどこへ行ったのだろう。 『近くにいますよ。あまり【壁】の近くだと、ハウスを建てるのに支障がありますから』  リンの疑問を見透かしたかのようにミフが言い、リンは、ミフを見た。そうだ、と思った。 「そっか、場所を探...
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