01仮魔女物語

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01仮魔女物語

治療院の魔女(5)

*  治療が済むと、もうすっかり夜だった。 治療院の鍵を閉めていたディアナが、さて、と言いながらこちらを振り返った。 「遅くなっちゃってごめんなさいね、マリアラ。手伝ってくれてありがとう」「いいえ、こちらこそ、助けていただいてありがとうござ...
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治療院の魔女(4)

*  ディアナの治療院は、コオミ屋から少し戻った場所にあった。 小さな、可愛らしい建物だった。入ってすぐ待合室になっていて、受付カウンターの向こうに事務室、その隣に治療ブースが見える。  待合室には誰もいなかった。ディアナは待合室を横切り、...
01仮魔女物語

治療院の魔女(3)

コオミ屋はお茶もお菓子も最高に美味しい、という、エスメラルダでも特に有名な店だ。製菓販売が主だが、喫茶店も兼ねている。ここのアフタヌーンティーが本当に絶品なんだよ、と、以前リンが話していたので覚えていた。  もしリンと一緒に来たのだったら、...
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治療院の魔女(2)

*  今日は運がいい。三時が近づく頃には、再びそう思えるようになっていた。 選んだ本は大当たりだったし、お昼ご飯も美味しかった。マージの喜びそうなチョコレートも見つけたし、まだ見ぬルームメイトと一緒に食べるための自分用も買えたし。  きっと...
01仮魔女物語

番外編 治療院の魔女(1)

「申し訳ない」  やってきてすぐ頭を下げられマリアラは慌てた。目の前で金色のつむじが渦巻いている。 「早いところ空けさせようとはしてるんだが……なにぶん荷物が多くて。本当に申し訳ない」  仮魔女寮の待合室はいつも閑散としている。仮魔女はみん...
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エピローグ

一週間後。 穏やかな、気持ちのいい昼下がり。  リンは自分の部屋で、香茶を飲みながら本を眺めている。が、内容がちっとも頭に入ってこない。湧き上がる衝動を発散しようと、五分ごとに立ち上がってはうろうろ歩き回らずにはいられない。同室の、自分の机...
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仮魔女と狩人(11)

フェルドはポケットから小さな巾着袋を取り出し、中からいくつかの器具を選び出していた。ぽん、という音と共に元の大きさに戻ったものは、つやつや光る鍋だ。  続いて取り出したのは、黄色いペーストがたくさん入った瓶だった。蓋をきゅぽんと開けて、スプ...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(10)

*  ガストンが持ってきてくれた保護局員の“極秘道具”のお陰で、リンを乗せたフィは数百メートル飛んだだけでつつがなく、エスメラルダの中に戻った。 ガストンはリンを見てホッとしたように微笑った。リンは何だかどぎまぎする。 「酷いケガがなさそう...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(9)

*  みしり、空間が軋んだ。ずずず、地鳴りがして、出し抜けに頭を殴られたような衝撃がきた。がちんと歯が鳴って、マリアラはよろめいた。 「あーもう! 左巻きは下がって!」  ダスティンがわめいている。でもマリアラは動かなかった。 若草色の粒子...
01仮魔女物語

仮魔女と狩人(8)

* 「ふうん」  とすん。 気がつくとリンは地面に仰向けに倒れていた。  グールドの紅い瞳が間近でリンを覗き込んでいた。グールドの左手がリンの右腕を押さえ、右手にはぎざぎざのナイフが光っていた。  マリアラが両手を胸の前で握りしめ、叫んでい...
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