第二章

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君の上に降る雨が、せめて穏やかなものであるように

08 美緒(4)

「紗子さん、本当に驚かせてすみません。そして、自らの素性を隠して美緒ちゃんに近づいて、ごめんなさい。美緒ちゃんには、私は看護師だと言っていたのですが、本当は違うんです。私は、人工知能です。松岡啓輔さんが生前に買った……」  ケイスケさんは必...
君の上に降る雨が、せめて穏やかなものであるように

07 美緒(3)

着信音がけたたましく鳴り響く中、ケイスケさんの取り落とした〈窓〉が地面の上で震える。画面には『紗子』という名が表示されている。しかし、着信に応じることはできないのだ。ここにいる誰も、『肉声』を持っていない。 「ど、え、これ、これ……エイジく...
君の上に降る雨が、せめて穏やかなものであるように

06 美緒(2)

まずやることは、ケイスケさんの古いLINEアカウントにアクセスするための〈鍵〉を準備することだ。  準備のため、どうしても、一度タンクのところに戻らなければならない。俺はケイスケさんの位置情報コードがきちんとポケットに入っていることを確かめ...
君の上に降る雨が、せめて穏やかなものであるように

05 美緒(1)

移動は一瞬だ。 息を呑むような音がして、俺は目を開けた。ケイスケさんが目の前にいた。半年前とほとんど変わらない。 ――いや、以前はなかった不安そうな色が見える。俺は「ども」と手を挙げた。ケイスケさんはまじまじと俺を見て、やがて微笑む。 「…...
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