amataniakino

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14魔女の失意

紅ばらと白ばら

デクターが落ち着くのに、数分かかった。  彼はようやく落ち着くと、「あーもー……こんな夜中に……疲れさせんなよ……」と毒づきながら、少し離れた場所にあったひじかけ椅子をごとごとと持ってきた。マリアラの目の前に設置して、腰をかけ、ふう、と息を...
03魔女の日常

ダメな子(2)

マリアラの作り方は、確かに、ここでの――そして他の製薬所での――常識的なものではなかったらしい。回りにいる子たちが不思議そうに、あるいは興味深そうに、しげしげとマリアラの手元を見ている。居心地が悪いが、仕方がない。  精製水を計って四つのフ...
14魔女の失意

読書欲

マリアラはポケットを探り、焼け焦げたビロードの小袋を取りだし、その中から自分のコインを選び出した。コインをいつも首元にぶら下げておくのは肩が凝るし、万一見とがめられては危険なので、コインは元どおりビロードの小袋の中にフェルドのものといっしょ...
14魔女の失意

【炎の闇】

ジェムズは珈琲を頼んだ。デクターは香茶が好きらしい。フェルドはこういう場合どんな飲み物を頼むのだろう、と、マリアラは考えた。シフトに入っている時は、甘くない炭酸水をよく飲んでいたけれど、喫茶店などで誰かと話をする時はどうなのだろう。こんなに...
14魔女の失意

喫茶室

喫茶室は一階下の、かなりのスペースを割いて作られていた。  いや、喫茶室ばかりではない。雨に祟られた不運な観光客もきっと満足するだろう、というほど、館内設備が整っていた。廊下に貼られた案内図によれば、プールも、ジムも、子供向けのアスレチック...
14魔女の失意

第一章 アリエディア

アリエディアは風光明媚な町だった。  マリアラはデクターが買ってくれたガイドブックを読みながら、窓から見えるあれこれを、レイルナートに解説するのに忙しかった。  ここはエスメラルダから雪山の頂を挟んで反対側の、山の斜面に古くから存在している...
14魔女の失意

間話 雪の降る街(2)

「……行かねーの?」  ヴィンセントに声をかけられ、リンは我に返った。そうだった。  リンはむすっとして足早に体育館の階段を上がった。得体の知れない男と一緒に行かなければならないのが落ち着かなかった。リンはヴィンセントを知らない。こんな印象...
14魔女の失意

間話 雪の降る街(1)

また雪が降り出した。  事務所のあるビルの出入り口で、リンは足を止めた。まだ路面に積もるほどではないものの、結構本格的な降り方だ。 「おら、行くぞー」  フェリクスはあっさり言って、雪の中にずかずかと足を踏み出して行く。リンはコートのフード...
13魔女の誕生

間話 〈彼女〉の別れ(3)

*  舞とアルガスとレティア、同時にニーナが帰って来たのは、それからひと月ほど後のことだ。  あたしはもう、我ながら、抜け殻みたいだった。ニコルとバーサに仕事の引き継ぎをし、遺言状の代筆をしてもらう仕事はもうとっくに済んでいた。最後にニーナ...
13魔女の誕生

間話 〈彼女〉の別れ(2)

ガルテはあたしを診て、診て、診て。  口を開けさせて脈を聞いて瞳孔を覗いてあちこち調べ、体中を指でつついて、ひざ頭を木槌で叩いて反応を見、何でもっと早く来なかったのか、と、絶望的な口調で言った。  それから、今すぐオーレリアを捜せ、と言った...
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