amataniakino

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02魔女の相棒

エピローグ

朝が来た。 今日も、ラセミスタはもう、出勤した後だった。  ――わたしが来てから、あの子は部屋で寛げていない。  遅ればせながら、その事実に気づく。 あの地下道で、少しだけ、近づけたような気がしていた。ダニエルやララに、危険を知らせてくれた...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(10)

氷の壁を回って魔物が姿を見せた。その姿は既に幼女に戻っていた。あまりに可愛らしく、あまりに異様だった。マリアラと目が合い、酷薄な笑みを刻んだ愛らしいほっぺたが、ひきつった。 『そなたら――!』  その瞬間、寒気が襲い掛かってきた。フェルドが...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(9)

『そなたどういうつもりなのじゃ』  幼女は三歳くらいに見えた。むくむくと太った体つき、ぷっくりふくれたほっぺたがとても可愛らしい。なのに尊大な言葉遣いと、優しさも思いやりも欠片もない冷たい声が不釣り合いだ。  魔物は凍り付き、怖い怖い、と繰...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(8)

一階に足を下ろした瞬間、今までとは違う音がした。硬く乾いていた靴音が、湿っている。 “礼拝堂”が近いのだ。  【魔女ビル】の一階には湧き水と、それを祀る"礼拝堂"がある。歴史書にも、“マーセラ神のご神体(湧き水)を守るために巨大な建物を建て...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(7)

フェルドの頭が抜け穴に消えて、少し。 マリアラは窓から見える風景に心を奪われていた。おやつの時間、幼児部屋はとても賑やかだった。初めは阿鼻叫喚に近い騒ぎだったが、それもすぐに収まった。どうやら上の子供部屋から来た子たちにはこういうときに世話...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(6)

五階は、子供のために作られた楽園だった。 廊下を出てすぐ、重厚な扉がそびえていた。扉を開けると、土足禁止、と書かれた大きなプレートがある。靴を脱いで備え付けのビニール袋に入れ、小さく縮めてポケットに入れ、柔らかなコルク素材の床を踏むと、その...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(5)

店を出る前に、フェルドは精算の仕方を丁寧に教えてくれた。【魔女ビル】に入っている飲食店や小売店は大抵同じシステムを取っているそうなので、これで他の店に行ってもまごつかずに済みそうだ。  廊下を出て歩き出すと、清掃隊の制服を着た人たちが増えて...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(4)

清掃隊の男の人は、ディヘルム=シュテイナーと名乗った。 清掃隊の一班を率いる班長なのだろう。シュテイナー班長の背後にいる班員三名は名乗りこそしなかったが、シュテイナーの指揮を心から受け入れて職務を全うしていることがよくわかる佇まいだ。マリア...
02魔女の相棒

五日目 非番 午後(3)

フェルドは別に逮捕されているわけではない、と歩きながらミシェルは言った。 ミシェル自身、何があったのかよくわかっているわけではないらしい。フェルドの部屋の前を通りかかったら扉が開け放されており、中には清掃隊員が何人かいて、フェルド自身は廊下...
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五日目 非番 午後(2)

午後一時。 マリアラはドキドキしながらフェルドが来るのを待っている。 心臓が潰れそうだ。  リスナ=ヘイトス事務官補佐室長から連絡があったときは、当たり障りのない返事をして乗り切ることができた――と思う。声も震えなかったし、目も逸らさなかっ...
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