2024-12

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03魔女の日常

奇跡(2)

何とか顔を整えて戻ると、フェルドはローテーブルの上に並べた蝋燭を睨んでいた。張り詰めるほどに集中しているのがわかる。蝋燭は十本、並んでいて、半分ほど火が灯っている。 ひとつ、炎が揺らいで、消えた。 そして、もうひとつ――いや、残り全部が一気...
03魔女の日常

奇跡(1)

『マリアラ。マリアラ、起きて』「んー」『マリアラ、起きて。遅刻するわ』「……んー?」『もう八時五十分よ。起きなさい』「はち……八時ごじゅっ!?」  マリアラは飛び起きた。辺りはもうすっかり朝だった。時計を見ると、確かに八時五十分を指している...
01仮魔女物語

仮魔女と友人(2)

*  マリアラの方も、『遭難者』がリンだと、知らされていなかったらしい。 箒に乗って舞い降りて来たマリアラは、地面に降り立ってからも、目を丸くしてリンを見ていた。そして――一瞬、身構えるような顔をした。そうだろうなとリンは思う。 リンは、マ...
14魔女の失意

第二章 追手

渋々部屋に戻る道すがら、見つけた時計を確認すると、なるほど時刻はもう真夜中を回っていた。確かに、まだ三分の二以上残っている分厚い本をまた読み出すには、差し障りのある時間と言えるだろう。  全く子供扱いされていると内心ブツブツ言いながら、デク...
03魔女の日常

ダメな子(4)

この世には魔女とか一般人とか関係なく、巧い子とダメな子が存在している、とラセミスタは思っている。巧い子は世間の流れに巧く乗っていける人たちだ。色々とアクシデントは起こっても、それを、持ち前の機転や経験や運などで、巧く乗り切っていける。  で...
03魔女の日常

ダメな子(3)

その日ラセミスタは夜十一時過ぎに自室に戻った。 最近、マリアラの行動パターンがつかめてきた。彼女は至極真面目なたちで、次の日仕事の場合は夜更かしなどまずしない。十一時なら絶対に寝ている。  カップケーキのメッセージの返事は、まだ書けていない...
14魔女の失意

紅ばらと白ばら

デクターが落ち着くのに、数分かかった。  彼はようやく落ち着くと、「あーもー……こんな夜中に……疲れさせんなよ……」と毒づきながら、少し離れた場所にあったひじかけ椅子をごとごとと持ってきた。マリアラの目の前に設置して、腰をかけ、ふう、と息を...
03魔女の日常

ダメな子(2)

マリアラの作り方は、確かに、ここでの――そして他の製薬所での――常識的なものではなかったらしい。回りにいる子たちが不思議そうに、あるいは興味深そうに、しげしげとマリアラの手元を見ている。居心地が悪いが、仕方がない。  精製水を計って四つのフ...
14魔女の失意

読書欲

マリアラはポケットを探り、焼け焦げたビロードの小袋を取りだし、その中から自分のコインを選び出した。コインをいつも首元にぶら下げておくのは肩が凝るし、万一見とがめられては危険なので、コインは元どおりビロードの小袋の中にフェルドのものといっしょ...
14魔女の失意

【炎の闇】

ジェムズは珈琲を頼んだ。デクターは香茶が好きらしい。フェルドはこういう場合どんな飲み物を頼むのだろう、と、マリアラは考えた。シフトに入っている時は、甘くない炭酸水をよく飲んでいたけれど、喫茶店などで誰かと話をする時はどうなのだろう。こんなに...
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