誰が主人なのか

ChatGPTを使う上で肝に銘じておかなければ、と思うことは、「主人は私でありChatGPTではない」という点です。

プロンプトの入れ方によって、ChatGPTの回答は変わってくる、ということが、使ってるうちにわかってきました。

こういう文章があるとします。

 ジョアンヌ・ジル・モルト夫人が準備した籠の中には、見るからに硬くぱさぱさした黒いパンの切れ端と干からびたチーズのかけらが入っていた。
 切り分けられた果物の切り口も干からび、茶色く変色している。レタスが添えられて然るべき場所に鎮座しているのは果物の皮。季節が違ったら、きっと蠅がたかっていただろう。ゴミ捨て場から拾ってきたものを詰めたようにしか見えない。料理長がこれを用意しろと命じたのだろうか。王女のために? 今まで一度も、こんなことはなかったのに。
 
 問題の籠を開けたのはわたくしの侍女、マルゴだ。マルゴは目を見開いて硬直している。わたくしも二の句が継げなかった。ジル・モルト夫人は勝ち誇ったようにこちらを見ていた。とげとげしい居丈高な声音で彼女は言った。

「ジャクリーヌ女王陛下が身罷られてからまだ半年足らず。中喪式も過ぎておりません。必要以上の贅沢は、国民の理解を得られますまい」

 なんという言い草――目の前が真っ赤になるほど腹が立った。わたくしが頼んだのは、暖かな窓辺でピクニックのように楽しめるサンドイッチや果物だ。それのどこが“必要以上の贅沢”だというのだろう!

 我が敬愛する王女殿下、マリアンヌ様は、いまだに執務に没頭していて、事態に気づいておられない。わたくしは呼吸を整えた。ジャクリーヌ女王陛下を亡くした悲しみに浸る暇もなく、その執務のほぼすべてを肩代わりするべく日々奮闘なさっている王女殿下に、これ以上の心痛を負わせるのは忍びない。なのにモルト夫人は厚顔にも、勝ち誇ったような声を投げかける。
 
「殿下、昼食のお時間で――」
「あなたのお心づくしは確かに受け取りました」わたくしは急いで遮った。「昼食の準備をありがとう。お下がりいただいて結構よ」
「わたくしはマリアンヌ様の女官でございます。あなた様からねぎらいのお言葉をいただく筋合いはございません」

 モルト夫人は挑戦的に言った。あなたの命令など聞くものか、と言う、彼女の内心が透けて見えるようだった。

 確かにわたくしはまだ、王宮から正式に何らかの役職に任命されたわけではない。マリアンヌ様も、喪が明けるまでわたくしを相談役などの地位に推挙することはできないから、今のわたくしの立場は、ただマリアンヌ様の友人だというだけだ。お部屋は与えられているが、お手当はいただいていない。

 けれど、王宮の中でわたくしを蔑ろにする存在なんて今までひとりもいなかった。当然だ。身罷られた女王陛下の唯一無二の親友で右腕であった女官総監は、わたくしの実のお母様だ。

「そう」わたくしは微笑んで見せた。「ではそこで、そのままお待ちいただくしかないわね。マリアンヌ様はお仕事がお忙しくて、一段落するまで我に返られないのが常ですもの、まさか有能なる女官ともあろうあなたが、お忙しいマリアンヌ様の集中をわざわざ乱すようなことはなさらないでしょうから」

 モルト夫人は負けずにつんと鼻を逸らした。

「もうお食事のお時間です。お時間どおりにお食事を摂られなければ殿下のお体に障ります」
「マリアンヌ様がお仕事をなさりながら召し上がれるように、籠に詰めてくれるようお願いしたのよ。執務の進め具合に口を挟むなんて、わたくし絶対にできないわ。あなたもそうでしょう?」

 そう言うと夫人は、憎々しげにわたくしを睨んだ。

で、上の文章を分析するために、プロンプトに以下のように入れた場合

以下の文章を読んで、感想を教えてください。

出てくる感想はこんな感じ。

この文章からは、宮廷内での緊張感や権力争いが伝わってきます。特に、主人公が王女のために頼んだ食事が粗末なものにされ、意図的に無視されたように感じられる場面は、宮廷の厳しい階級や立場の違いを強調しています。

ジョアンヌ・ジル・モルト夫人の態度には冷淡さと高慢さが感じられ、彼女が主人公を軽視していることが明らかです。彼女は、主人公が公式な役職についていないことを理由に、従う義務がないと考えているようです。この態度は、宮廷内での権力構造や主人公の立場の不安定さを象徴しているといえます。

一方で、主人公はモルト夫人に対して冷静に対応し、マリアンヌ王女の気持ちや健康を最優先に考えています。彼女の冷静な対応と、モルト夫人との対立は、主人公の賢さと忍耐強さを示しています。また、主人公が王宮内での自分の立場を理解しながらも、モルト夫人に対して毅然とした態度を取る姿勢は、彼女の内面の強さを感じさせます。

全体的に、文章からは宮廷内での複雑な人間関係や、権力と立場を巡る微妙な駆け引きが描かれており、物語の背景にある緊張感がよく表現されています。

同じ文章で、次はプロンプトに以下のように入れてみます。

以下の文章を読んで、感想を教えてください。
冗長に感じるところがあったら指摘してください。

そしたら冗長に感じるところを出してくれる。

この文章は、宮廷内の緊張感や権力関係を巧みに描写しており、読み手に強い印象を与えるものです。特に、登場人物の心理描写や感情の動きが細かく表現されていて、状況に対する緊張感が伝わってきます。

ただし、いくつかの部分が少し冗長に感じられるかもしれません。以下のポイントがその例です:

  1. 「料理長がこれを用意しろと命じたのだろうか。」から「今まで一度も、こんなことはなかったのに。」までの部分
  • この部分は少し繰り返しが感じられます。「料理長がこれを用意しろと命じたのだろうか。」の後に、すぐ「今まで一度も、こんなことはなかったのに。」と続けることで、読者に「異常な事態」であることが一度で十分伝わります。冗長に感じる場合、「王女のために?」の後に「今まで一度も~」を追加して、もう少し簡潔にまとめることができます。
  1. 「確かにわたくしはまだ、王宮から正式に何らかの役職に任命されたわけではない。」から「今のわたくしの立場は、ただマリアンヌ様の友人だというだけだ。」までの部分
  • ここは重要な情報ですが、「確かにわたくしはまだ、王宮から正式に~」の部分を少し簡潔にして、情報の焦点を絞るとさらに効果的かもしれません。

全体的には、宮廷内の複雑な人間関係と権力の駆け引きをリアルに描写しており、読者を引き込む魅力があります。ただし、上述のように一部の表現をもう少し簡潔にすることで、文章がさらに引き締まるかもしれません。

おお〜!!確かにそうかもしれんね!

で、ですが。

このChatGPTの意見を採用するかどうかを決めるのはであるということを、肝に銘じておかなければならないと思うのです。ChatGPTが出した意見が正解だとは限らないからです。

私今、夢枕獏さんの「沙門空海、唐の国にて鬼と宴す」という本を読んでいますが、この人の文章は、誤解を恐れずにいえば、結構冗長だと感じる部分がなきにしもあらず、かもしれない、と思います。でも、それが味じゃん?一つのことを、あっちからもこっちからも、手を変え品を変えて描写してくれる、そこがいいんじゃん?

もし夢枕獏さんがChatGPTを導入したとして、「ここが冗長です」と指摘をされたとして、それを直してしまったら、私はすごく嫌だと思うんですね。安倍晴明と源博雅が景色を見ながらお酒を飲むだけのシーンで2ページ3ページ使う、それが大事なんじゃん!!

なので最近、私、「冗長に感じるところはありますか」というプロンプトは、「自分がちょっとこれは冗長なのではないか?」「さっきも同じこと書いたような気がするけどどうだったかな?」と感じたけどどう直していいか頭がこんがらがってきたから整理して欲しい、と思った時だけ入れることにしています。私の文章は確かに冗長かもしれないですけど、もうものすごい大長編になってしまっているので、そこがいいって思ってくれる人だけがついてきてくれてる…!と思うことにする。

大げさかもしれませんが、AI使う上で、その前提は忘れちゃいけないような気がしています。

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